永里正彦氏~「みんな仲良く」って言ってますよね

ちょっと切ない別れがあって、少しの不安と希望に胸膨らませた新たな出会いに心が踊るこの季節。親は子に「みんなと同じ無難に」「角を立てずに」と思いつつも、どこかに「ひとりで逞しく」という二つの心を合せ持つのが親心だと思うのですが。

「みんなと仲良く」という言葉がそこかしこからよく聞こえてきます。「みんなと仲良く」するとはどういうことなのでしょうか。

「人と波風立てないで」的に強調して子供に伝えている親御さんが多いような気がします。けっして悪いことでも間違いでもないですが、度を越すと相手に心の内を見せない、相手の顔色を伺う、相手を無理やり納得させる、など歪んだ人間関係になりかねないように感じます。

「みんなと仲良く」という言葉は大人からの影響力が強すぎると子供の「無垢で純粋な気持ち」に変に上塗りされていくきらいがあると感じているのは私だけでしょうか。

「無垢で純粋な気持ち」と「相手の気持ちを理解しよう」という思いを合わせ持つことができれば「みんなと仲良く」という言葉は生きてくるのではないでしょうか。

「みんなと仲良く」するとは「相手を理解しよう」としながら、純粋な気持ちで行動を起こしていくことだと私は思っています。

それでは「相手の気持ちを理解しよう」ということを誰がどう伝えていくのでしょうか。地域社会のなかだけでは伝えきれるものではなく、「親の愛」なくしては伝えきれるものでもありません。

私は関わった選手たちに「もし、お父さんやお母さんが今の君の行動を見たらどう思う?」と問いかけて涙ぐむ選手を何人も見てきました。子供は「親の愛」が痛いほど分かるから、親を理解しているから、感極まるのです。

あるきっかけで家内に対して横柄な仕草をした我が子に「誰のおかげでサッカーができるの?お母さんじゃないの!」と叱ったことがあります。返る言葉はありませんでした。我が子は「母親の愛」ある実直な行動を知っていたからです。

身近にいる大人が自分の親を子供自身が理解していることを気づかせてあげる。子供に関わる全ての大人が「人を理解するとはどういうことか」を気づかせてあげる。そのことが「みんなと仲良く」する本意を知るきっかけになるのではないでしょうか。